会長挨拶
第11回日本産科婦人科遺伝診療学会学術講演会 主催

2026年1月30日(金)・31日(土)に、京都産業会館におきまして第11回日本産科婦人科遺伝診療学会学術講演会を開催させていただきます。第2回以降、約10年ぶりに京都の地で学術講演会を開催できますことを、大変光栄に存じております。
産婦人科の重要なサブスペシャリティである周産期、生殖、腫瘍それぞれの領域におきまして、遺伝子診療が非常に重要な役割を持ち、もはや日常診療の一部となりつつある状況は、皆様が痛感されていることと存じます。そして目覚ましく進歩するAI技術の活用により、非常に多くの臨床サンプル(ビッグデータ)を一度に扱い、複雑な解析を行うことが比較的容易な時代となってまいりました。その結果、医療者だけでなく、一般社会も様々な遺伝子情報に触れやすくなっている状況です。私たち臨床医には、そのような世間に氾濫する遺伝子情報をきちんと理解し、当事者である患者さんやご家族に、誤解や余計な心配を与えることなく、必要な情報を適切に抽出してわかりやすく咀嚼してお伝えする技術が、これまで以上に求められております。これを踏まえまして今回の学会テーマは「ビッグデータ時代の遺伝診療、患者への適切な情報提供と説明の最適化」とさせていただきました。
遺伝子解析の最新技術やその結果が意味するところを理解するだけでなく、それを正しく患者に伝えるための適切なタイミング・患者の心理状態把握など、さまざまな要素を考慮してバランスを取れた説明を行うことも、臨床現場では非常に重要です。今回の学会では、ビッグデータを活用した最新の遺伝子解析の現状を学ぶだけでなく、それを伝えるための現場における苦労や工夫、職種を超えた連携の重要性などについても、実践事例を交えながら皆で議論できる機会を提供できればと思っております。
本学会が、ご参加の皆様方にとって、それぞれの専門知識を領域の垣根を超えて交換し合い、互いに刺激を受け合う場となることを願っております。多数の皆様方のご参加とご発表を、教室員一同並びに同窓会員一同、京都の地にて心よりお待ち申し上げておりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。